話題のクリーンビューティーとは?日本発ブランドもご紹介

話題のクリーンビューティーとは?日本発ブランドもご紹介

ここ数年話題の「クリーンビューティー」。トランプ大統領はSDGsに反対姿勢などもあり、世界的にはややトーンダウンしたかもしれませんが、年々世界各国で異常気象が続く現実を目の当たりにすると、化粧品業界に限らず各方面で環境への負荷を減らす努力は必須だと感じています。

改めてクリーンビューティーについて解説してみたいと思います。

クリーンビューティーのイメージ

クリーンビューティーとは?基本的な理解

「クリーンビューティー」は、近年美容業界でも注目されているキーワードの一つです。単なるオーガニックやナチュラルとは異なり、肌や身体の健康だけでなく、環境や社会にも配慮した、新しい美のあり方を示しています。

クリーンビューティーの歴史と背景

クリーンビューティーの概念は、2000年代初頭に欧米、特に米国西海岸で広がり始めました。当初は、特定の有害化学物質を排除しようという動きが中心でしたが、次第に動物愛護(クルエルティフリー)や環境への負荷軽減(サステナビリティ)といった倫理的な要素が加わり、包括的なムーブメントへと進化しました。背景には、消費者による化粧品成分への意識の高まりと、SNSなどによる情報拡散の加速があります。

クリーンビューティーが注目される理由

クリーンビューティーがこれほどまでに注目されるのは、健康意識と社会意識が変化したことも大きな要因です。かつては美しさを追求できるのであれば、肌に負担をかける成分も許容されていましたが、近年は何を肌に入れるか・のせるかという意識が高まりました。また、地球温暖化や海洋汚染といった環境問題が深刻化する中で、私たちが選ぶ製品が「社会全体に良い影響を与えるか」という視点が欠かせなくなったことも大きな理由です。「買い物は投票だ」という意識が若い世代をはじめとして根付いてきており、生産背景や使用成分などを明らかにした透明性の高い製品を求める声が、業界を動かしています。

一般的なコスメとの違い

従来の一般的なコスメは、「効果の即効性」や「使用感の良さ」を最優先に開発されることが多く、長期的な肌への影響や環境負荷は二の次になることもありました。一方、クリーンビューティーは、これらに加え「安全性」「透明性」「倫理性」という三つの柱を最重要視します。特に、内分泌かく乱作用が疑われる成分や、環境中に蓄積しやすいマイクロプラスチックなどの使用を避けるのが大きな特徴です。

クリーンビューティーの環境への影響

クリーンビューティーは、単に肌に優しいだけでなく、地球環境にも優しい選択です。製品の製造過程から廃棄に至るまで、環境負荷の最小化を目指します。例えば、生分解性の高い成分の使用、水資源の節約、持続可能な方法で採取された原料(サステナブルな調達)の採用などが挙げられます。これにより、私たちが洗い流した成分が海や土壌を汚染するリスクを減らし、生態系への配慮を可能にしています。

クリーンビューティーが提案するライフスタイル

クリーンビューティーは、単に化粧品を変えることではありません。それは意識的な消費(コンシャス・コンシューマリズム)というライフスタイルそのものを提案しています。「何となく流行っているから」ではなく、「なぜこの成分が入っているのか」「このブランドはどんな哲学を持っているのか」を考慮した上で購入する姿勢です。自分の肌だけでなく、私たちが暮らす地球全体を大切にするという、より大きな価値観に基づいた商品開発が増えてきました。

クリーンビューティーの定義と基準

世界的に統一された「クリーンビューティー」の公式な定義はまだ存在しませんが、業界内で共通して重要視されている、核となる要素がいくつかあります。

成分の透明性

クリーンビューティーの根幹を成すのが「透明性(トランスペアレンシー)」です。これは、単にすべての成分を表示するだけでなく、「なぜその成分を使うのか」「どこから調達されたのか」「どのように加工されたのか」といった情報まで、消費者に分かりやすく開示することを意味します。特に香料など、企業秘密とされることが多い成分についても、その由来や安全性を可能な限り明確にすることが求められます。この透明性こそが、消費者とブランド間の信頼関係を築く土台となります。

クリーンビューティーコスメのテクスチャーイメージ

有害化学物質の不使用

クリーンビューティーの具体的な基準として最も分かりやすいのが、特定の有害化学物質(一般的に「ブラックリスト」と呼ばれる成分)を使用しないことです。例えば、パラベン、硫酸塩(サルフェート)、フタル酸エステル、合成着色料、BHT、BHAなど、内分泌かく乱作用や肌への刺激が懸念される成分が対象です。ブランドごとに排除リストは異なりますが、安全性への配慮が最も強く反映される部分であり、消費者がチェックすべき基本情報です。

動物実験とクルーエルティフリー

「クルエルティフリー(Cruelty-Free)」は、製品開発のどの段階においても動物実験を行っていないことを指します。クリーンビューティーの多くは、この倫理的な基準を厳格に守っています。動物実験を行わないことは、化粧品を使う喜びが、動物の犠牲の上に成り立たないことを意味します。この考え方は、動物愛護の精神だけでなく、人間に代わる安全性の評価技術の進化にもつながっており、美の追求と倫理性を両立させる重要な基準です。

エシカルなパッケージング

製品の中身だけでなく、外装であるパッケージングもクリーンビューティーの重要な要素です。「エシカルなパッケージング」とは、リサイクル可能な素材の使用、再生プラスチック(PCR)の使用、ガラスや紙など環境負荷の低い素材への転換、そして過剰包装の廃止などを意味します。また、リフィル(詰め替え)システムを導入し、使い捨てを減らす工夫も求められています。容器の廃棄が地球環境に与える影響を真剣に考える姿勢が、ブランドの信頼性を高めます。

クリーンビューティー商品の選び方

市場には「ナチュラル」「オーガニック」といった言葉が溢れていますが、「クリーンビューティー」を本当に体現している製品を見つけるには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。

成分表示の読み解き方

製品の裏面に記載されている成分表示は、その製品が「クリーン」であるかを判断する最も重要な情報源です。日本では配合量の多い順に記載されるルールがあるため、上位に記載されている成分が安全か、環境に配慮されているかをチェックしましょう。特に、「パラベン(防腐剤)」や「PEG(乳化剤)」、「合成香料」など、一般的にクリーンリストから除外されている成分が混入していないかを確認する習慣をつけることが大切です。分からない成分はすぐに調べるようにしましょう。様々な化粧品の成分を詳しくチェックできるアプリなども出ているので、気になる方はぜひ試してみてください。

認証マークの見方

信頼できるクリーンビューティー製品には、第三者機関による認証マークが付与されていることが多いです。代表的なマークとしては、「エコサート(Ecocert)」や「COSMOS」といったオーガニック認証、そして「リーピングバニー(Leaping Bunny)」や「PETA」といったクルエルティフリー認証があります。これらのマークは、ブランドが自主的に掲げる「クリーン」の基準だけでなく、客観的な厳格な審査を通過した証拠となるため、製品選びの大きな判断材料となります。

クリーンビューティーブランドの紹介

欧米発のクリーンビューティーブランドが有名ですが、近年は日本発で世界の基準を満たし、日本の肌質や環境に合わせた製品を展開するブランドが増えています。伝統的な日本の美容成分(米や緑茶など)をサステナブルな方法で活用し、和の哲学を取り入れたクリーンビューティーは、世界からも注目されています。次のセクションで詳しく紹介するH365も、その代表的なブランドの一つと言えるでしょう。各ブランドの公式サイトで理念を比較検討するのがおすすめです。

口コミやレビューを活用する方法

口コミやレビューは、製品の「使用感」を知る上で非常に役立ちますが、クリーンビューティーにおいては「継続性」や「肌への安全性」に注目したレビューを参考にしましょう。一回使って「良かった」という感想よりも、「敏感肌でも数ヶ月使い続けられた」「アレルギー反応が出なかった」といった、肌への負担の少なさを評価する声が重要です。また、ブランドの環境への取り組みや顧客対応に関する評価も、エシカルな視点から確認すべきポイントです。

自分に合った製品の見極め方

クリーンビューティーの原則は「有害物質不使用」ですが、天然成分でも肌に合わないアレルギー反応が出ることはあります。大切なのは、「クリーン」の基準が自分の肌に合っているかです。まずは一つだけ製品を切り替える「スモールスタート」を実践し、肌の変化を注意深く観察しましょう。また、ブランドの哲学に共感を持てるかという点も、製品を長く愛用するために重要です。

日本クリーンビューティーブランド

H365

H365 UV/ブルーライトプロテクトハンドクリーム

H365はH365 UV/ブルーライトプロテクトハンドクリームを展開する日本発のクリーンビューティーブランドです。出産後、急激に手の甲が老けたことにショックを受けた女性が、ゼロから開発した100%自然由来の多機能エイジングケアハンドクリームです。出産をきっかけに、「子どもたちが大人になるまで地球は無事なんだろうか?」と本気で不安になり、環境にやさしい商品にすることを大前提に開発がスタート。

肌や地球に優しいけど、手の老化を予防する機能は全部詰め込みたいという想いから、開発に2年かかってようやく商品化が実現したそうです。この4つの機能が1本で叶うというのは嬉しいポイントです。

・SPF20 PA+++

・ブルーライトカット

・塗った瞬間トーンアップ

・エイジングケア

開発にあたりコラボレーションしたのは、独自の発酵技術で未利用資源を再生・循環させる社会を構築する研究開発型スタートアップのファーメンステーション社製造過程でゴミを一切出さず、これまで廃棄されてきたものを資源として再利用するサーキュラーエコノミーを大谷選手の地元、岩手県奥州市で実現しています。

H365には奥州市の休耕田で作られたオーガニック米もろみ粕エキス(抗酸化・抗老化作用)を配合。田んぼは厳しいオーガニック認証をクリアしていて、トレーサビリティも明確です。

岩手県奥州市にあるファーメンステーション社の田んぼ

さらにパッケージも薄い紙袋なのが珍しいポイントです。こういったチューブのクリームは大体箱に入っていることが多いのですが、梱包資材を最低限に抑え、チューブもバイオマスプラスチック製を使用しているとのこと。

H365 UV/ブルーライトプロテクトハンドクリームのパッケージ

日本でもクリーンビューティーブランドが増えてくれると良いですね。

クリーンビューティーを日常に取り入れる方法

クリーンビューティーへの移行は、一度にすべてを変える必要はありません。小さな一歩から始め、徐々に意識を変えていくことが、持続可能な美しさを手に入れる秘訣です。ここでは、無理なくクリーンビューティーを日常に取り入れるための具体的な方法をご紹介します。

スタートガイド

クリーンビューティーを始めるための最も簡単な方法は、「毎日必ず使うもの」から見直すことです。例えば、洗顔料や化粧水、またはボディソープなど、肌に触れる時間が長く、洗い流すことで環境にも影響を与える可能性が高いアイテムを一つだけクリーンなブランドに切り替えてみましょう。一つのアイテムから始めることで、成分表示をじっくり確認する習慣がつき、失敗のリスクも最小限に抑えられます。

小さなステップからの始め方

次に試すべき小さなステップは、「ブラックリスト成分を一つ決めて、それが入っている製品を買わない」というルールを設けることです。例えば、「パラベンが入ったものは買わない」と決めるだけでも、製品選びの幅は大きく絞られます。このように、具体的な排除リストを持つことで、漠然とした「クリーン」の概念が、具体的な行動指針へと変わります。無理せず、まずは自分にとって最も避けたい成分から始めましょう。

未来の美のスタンダード、クリーンビューティーの可能性

クリーンビューティーは一時的なトレンドではなく、未来の美のあり方を決定づける**新しいスタンダード**として定着しつつあります。このムーブメントが、私たち個人の美しさだけでなく、社会や業界全体にどのようなポジティブなインパクトをもたらすのかを見ていきましょう。

クリーンビューティーがもたらす社会的インパクト

クリーンビューティーの拡大は、原料調達を行う農家や地域社会にまでポジティブな影響を与えます。公正な取引を行うフェアトレードの推進、地域特有の資源を活かしたサステナブルな調達、そして環境負荷の低い農法の採用は、サプライチェーン全体のエシカル化を促進します。これにより、化粧品業界は単なる「消費」を生むだけでなく、「社会課題の解決」に貢献する役割を担うことができるようになるのです。

業界全体の動向

クリーンビューティー市場の成長に伴い、これまで大規模な従来の化粧品メーカーも、「グリーンウォッシング(見せかけのエコ活動)」と批判されないよう、本格的な取り組みを始めています。成分の開示を進めたり、人気製品からパラベンなどの成分を自主的に除去したりする動きが顕著です。

消費者として意識すべきこと

私たち消費者が最も意識すべきことは、「投票行動としての買い物」です。私たちがクリーンビューティー製品を選ぶという行為は、単なる購入ではなく、「私たちは安全と倫理性を重視します」というメッセージを市場に送る一票となります。この一票が積み重なることで、企業はより環境に配慮し、透明性の高い製品開発に投資せざるを得なくなります。私たちの一つの選択が、未来の美のスタンダードを作っているとも言えますね。

クリーンビューティーの未来展望

クリーンビューティーは今後、よりパーソナライズされ、よりサステナブルな方向へと進化していくでしょう。AIを活用した肌質に合わせた成分設計や、パッケージングの完全循環型システム(ゼロ・ウェイスト)の実現などが期待されています。将来的には、「クリーン」であることが特別な基準ではなく、すべての化粧品に求められる最低限の条件となるでしょう。

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